「サブスクリプション」や「サブスク」という言葉は、今や私たちの日常生活に深く浸透しています。
YouTube、Amazonプライム、Netflix、Spotifyなど、様々なサービスが提供されていますが、皆様も一度はこれらのサービスを利用したことがあるのではないでしょうか。
安定して運営するためにも、サブスクリプションサービスの導入はおすすめです。
沖縄のECサイト運営者の皆様、この機会にサブスクリプションモデル導入の可能性を探ってみませんか?
サブスクリプションとは?どんなサービスなの?

サブスクリプション(Subscription)とは、英語の動詞「Subscribe(加入する、定期購入する)」の名詞形です。
ビジネスにおいては、商品を一度購入するのではなく、定額料金を支払い、一定期間サービスを利用できるビジネスモデルを指します。
身近な例としては、習い事の月謝や、定期購読の新聞代金、スマートフォンの契約も広義にはサブスクリプションの一種です。
また、Webサービスやデジタルコンテンツとの相性が良いことで知られています。
近年では、飲食料品、衣料品、自動車など、様々な分野でサブスクリプションサービスが登場しています。
サブスクリプションモデルのメリットとデメリット

サブスクリプションモデルが広く普及したのは、導入する側のメリットが大きいからです。
もちろん、同時に導入する際には様々なデメリットも考慮しなければなりません。
そこで、サブスクリプションモデルのメリットとデメリットを整理し、ECサイト運営につながるポイントを解説します。
サブスクリプションモデルのメリット
サブスクリプションモデルが広く採用されている大きな理由の一つは、顧客からの定期的な収入を確保できる点にあります。
これにより、売上予測が立てやすくなる点もメリットの1つです。
また、定期的なデータ収集により顧客ニーズを把握し、商品開発や新たな市場開拓に繋げられる可能性もあります。
サブスクリプションサービスの導入は、Eコマース事業成長の大きなチャンスです。
その課題解決に繋がる商品やサービスを提供できれば、ECサイトの満足度と信頼性を高め、ひいては売上向上にも貢献するでしょう。
顧客が本当に求めているものは、顧客自身が抱える課題から生まれることも多々あります。
顧客側のメリットとしては、毎回注文する手間が省け、定期的に商品が届けられる利便性が挙げられます。
顧客の利便性を高め、安心感と満足感を提供することが、サブスクリプションモデル運営の重要なポイントです。
ECサイトでサブスクリプションモデルを適切に運営できれば、継続的な顧客関係を築き、顧客ロイヤリティを高められます。
運営側と顧客側双方のメリットを改めて検討し、事業成長のヒントを発見しましょう。
サブスクリプションモデルのデメリット
また、一度限りの販売とは異なり、サブスクリプションモデルは継続的な売上を見込める一方、顧客との関係性構築と維持が不可欠です。
「お試し」で購入したい顧客にとって、サブスクリプションモデルはハードルとなり、ECサイトへのアクセスを妨げる可能性があります。
さらに、値上げや品質・サービスの低下は、顧客の不満を高め、解約に繋がりやすいです。
定期的に商品を愛用する習慣が途絶えると、サブスクリプションの商品に対する抵抗感や不信感が強まり、再契約が難しくなる可能性があります。
安定供給が滞ると、顧客対応に手間がかかり、信頼を損なってしまうでしょう。
サブスクリプションモデルには、メリットだけでなく、デメリットも存在することも理解しておくことが重要です。
まず、システム構築や商品の安定供給体制といったサービス運営体制の整備には、通常よりも初期投資がかかる傾向があります。
サブスクリプションに向いている商品とは?
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ECサイトで扱うサブスクリプションに向いている商品について考えてみましょう。
消耗品
まず、サブスクリプションに向いている商品で、真っ先に思いつくのが、生活に欠かせない消耗品です。
トイレットペーパーを切らしてしまうのは恐ろしいですしね。
ほかにも、ティッシュペーパー、シャンプー、洗剤など、定期的な購入が見込める消耗品はサブスクリプションに適しています。
品質の劣化がかなり少ないため、長期で保管することもできることが、サブスクリプションに向いている大きな理由の一つです。
見逃せないポイントとしては、(下記に紹介するカテゴリーもそうですが)体に触れる消耗品の品質が悪いと、健康を損なうケースがあることです。
逆に、品質の良い消耗品をサブスクリプションで提供する価値を、顧客に訴求できるのではないでしょうか。
コスメティック・スキンケア・デオドラント商品
こちらの商品も、定期的な使用が見込まれ、長期保管も可能な商品です。
主に女性向けの商品ですが、最近では男性もスキンケアやデオドラントに関して気をつけることが当たり前になってきました。
ただ、デオドラント商品に関しては、やはり暑い時期の需要がメインなので、寒くなると必要性を感じないため、需要が減ってしまいます。
健康関連
サプリメントやプロテインなどの健康関連商品は、サブスクリプションに適しています。
これらも定期的な利用が見込め、長期的な保存がきく点も特徴です。
また、(上記二つの項目にも当てはまる商品ですが)コロナ禍以降、消毒用アルコールや、除菌シートなどの需要は増加傾向にあります。
健康関連商品は女性の需要が多いのですが、これはむしろ、男性の方が健康に無頓着なことが原因かもしれません。
そして、男女関係なく、年齢層が高くなるにつれ需要は増加します。
食品や嗜好品
サブスクリプションサービスで扱う商品の中でも、地方の特産品や、こだわりたい食材・料理やお菓子は、顧客の関心が高いでしょう。
美味しい料理やお菓子は多くの人に好まれるため、関心を集めやすい特徴があります。
生鮮食品は管理が難しいため、基本的にサブスクリプションには不向きです。
一方で、お菓子、ドライフルーツ、コーヒー、缶詰、レトルト食品など、長期保存可能な食品は適しています。
嗜好品は、こだわりを持っていらっしゃる方が多いです。
長期の継続利用が見込まれる可能性が高いカテゴリーと言えるでしょう。
ペット用品
ペットフードやトイレの砂など、定期的な需要が見込めるペット用品も適しています。
これまで挙げてきたものは、実はペットにも当てはまるものが多くあります。
ペット関連の商品をしっかり管理することは、それらのトラブルを防ぎ、大切な『家族』の為にも必要ではないでしょうか。
他社事例から得るサブスクリプションのアイデア

サブスクリプションサービスを行うにあたって、少し別の角度から活性化のヒントが得られるかもしれません。
今回は独特のコンセプト、取り組みを行っている2社の例を見てみましょう。
デアゴスティーニを参考にしてみる
イタリアの出版社デアゴスティーニは、『パートワーク』という分冊販売モデルを確立していました。
ここで言うところの『パートワーク』は、分厚い百科事典のような高額出版物を細かく分けて販売する手法です。
- 『知的好奇心』と『所有欲』を満たすコレクション要素を提供
- 高額な商品を分割し定期購入の形でハードルを下げ、最初は低価格にすることで間口を広げる
- 一度始めたらコンプリート欲を刺激する
また、その特徴を活かして、冊子以外にも模型やDIYキットを手掛けています。
そして、最初に販売する前に完成品の品質を事前に確認し、品質保証に努めている点も重要です。
これらデアゴスティーニのビジネスモデルを、ECサイトの活性化に役立てるように考えてみるのも面白いかもしれません。
季節やイベントに合わせたセット販売
既に現在でも季節や大きなイベントに合わせてセット販売を行っているものがあります。
例えば、「おやつ通信」は、年8回、季節やテーマに合わせたお菓子を販売するサブスクリプションサービスです。
関連サイト:おやつ通信
おやつ通信を運営している山口県の株式会社アデリーは、他にも様々な事業に取り組んでいます。
関連サイト:株式会社アデリー
時節に合わせて商品セットを販売することは、通常よりも手間はかかります。
しかし、通年の販売が難しい商品を上手く組み合わせ、テーマ性を持たせて販売することは、ECサイトの独自性と差別化を図り魅力度をアップするのに貢献できるのではないでしょうか。
セット販売以外にも、例えば春夏秋冬や時節に合わせた特別な単品や、新年のあいさつ代わりや長年ご愛顧いただいているお礼代わりのノベルティなどにも活かせそうです。
ぜひ、このような独自の企画性を持ったサブスクリプションサービスから、ひらめきを得てください。
サブスクリプションサービスの始め方

サブスクリプションサービスの始めるための準備段階を見ていきましょう。
ECサイトでもサブスクリプションサービスは増加傾向にあり、今後も規模は拡大する見込みです。
今すぐ始めることがなくても、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
まずはサブスクリプションビジネスモデルの理解から
サブスクリプションビジネスモデルは、顧客が定期的に料金を支払い、継続的に商品やサービスを利用する仕組みです。
安定収入、顧客ロイヤリティ向上、効率的な在庫管理につながります。
サブスクリプションの種類と自社への適合性
サブスクリプションサービスには、主に3つの種類があります。
- 定期配送型:同じ商品を定期的に届けるモデル(日用品、食品など)
- キュレーション型:顧客の好みに合わせて選定された商品を定期的に届けるモデル(化粧品、ファッションなど)
- アクセス型:会員限定のコンテンツやサービスへのアクセスを提供するモデル(オンライン講座、会員制サービスなど)
自社の扱う商品やサービス、そしてターゲット顧客のニーズに合わせて、最適なモデルを選択する必要があります。
自社のビジネスモデルがどのサブスクリプションの型に合致するのか、綿密な検討を行いましょう。
導入前の準備:戦略と計画
サブスクリプションサービスを成功させるには、しっかりとした計画と準備が重要です。
計画の内容は以下の通りです。
- 顧客層の具体的なイメージを持ち、需要を探る
- サービス提供の仕組み(商品・価格・配送)づくり
- プラットフォームとツールの選定
- サポート体制の構築
- マーケティング戦略の策定
- KPI(重要業績評価指標)の設定
それでは、具体的に解説します。
顧客層の具体的なイメージを持ち、ニーズを探る
まず最初は、サブスクリプションサービスを利用しそうな顧客層を具体的にし、効果のありそうな需要を探ることからです。
既存の購買データを分析、アンケートや直接話を伺うなどの調査を実施して、お客様の好み、生活スタイル、困っていることなどを把握します。
- 便利さ:注文の手間や買い忘れの心配がなく、定期的に必要なものが自動で届く手軽さ。忙しい日々のタイパフォーマンス向上に
- 価格の安さ:良い商品を単品で購入するよりも、お得な価格設定などの経済的なメリット
- 体験:定期便が届くワクワク感や、新しい商品との出会い。特別感や限定コンテンツなど、モノ以上の価値
また、より長期で利用していただけそうな顧客層やニーズを探ると良いでしょう。
サービス提供の仕組み(商品・価格・配送)づくり
顧客層のニーズをもとに、サービスの内容を決めます
- 商品選定:サブスクリプションに適した商品。消耗品やコーヒーなどの嗜好品、お客様の興味をひきつける付加価値の高い商品
- 価格設定:お客様にとって魅力的な価格。単品購入の価格や競合の価格などを参考に、適切な価格を
- 配送方法:配送の頻度、サイクル。お客様の利便性を考慮し、自社のリソースで対応可能な範囲で設定
プラットフォームとツールの選定
サブスクリプションサービスを運営するためのプラットフォームとツールの選定も重要です。
- ECプラットフォーム:既存のECサイトを活用するか、サブスクリプション特化のプラットフォームを導入を検討。ShopifyなどのECプラットフォームは、サブスクリプション機能を提供するアプリとの連携が可能
- サブスクリプションアプリ/ツール:ShopifyなどのECプラットフォームを利用する場合、サブスクリプション機能を拡張するアプリやツールを導入。Shopifyサブスクリプションアプリの比較を参考に、自社のニーズに合ったものを選択
- 決済システム:定期的な支払い処理に対応した決済システムを導入。クレジットカード決済や、銀行振込など、多様な決済方法に対応
- CRM(顧客関係管理):顧客データを一元管理し、コミュニケーションを円滑にするためのCRMシステムを導入を検討。顧客の行動履歴や嗜好に基づいたパーソナライズされたサービス提供に
サポート体制の構築
サブスクリプションサービスでは、お客様からの問い合わせや、変更、解約などの手続きに対応できる、しっかりとしたカスタマーサポート体制を整える必要があります。
- FAQの作成:お客様が自分で解決できるように、よくある質問と、その回答をまとめたFAQを作成。
- 問い合わせ窓口の設置:メール、電話、チャットなど、複数の問い合わせ窓口を設置し、お客様がスムーズに連絡できるように
- 担当者の教育:顧客対応のスキルや、サブスクリプションサービスに関する知識を深める勉強、研修を実施
マーケティング戦略の策定
サブスクリプションサービスを始めるには、顧客層に知ってもらうための宣伝が大切です。
- ターゲット顧客の定義(ペルソナ設定):サービスの価値を最も理解し、それを求める顧客層の具体的定義(ペルソナ設定)とニーズの明確化
- 提供価値(バリュープロポジション)の明確化:ターゲット顧客への独自の提供価値(利便性、経済性、体験価値など)の具体的言語化。競合との明確な差別化ポイントと優位性を示す
- コミュニケーション戦略の立案:ターゲット顧客に響く魅力・メリットを伝えるメッセージ開発。顧客が主にりようする情報源(SNS、Web、メール等)の特定と最適チャネル選定。Web広告、コンテンツマーケティング、SNSの活用、インフルエンサーとの連携などの具体的プロモーション手法策定
- マーケティング予算の策定とROI(投資対効果)予測:各施策費用(広告費、制作費など)の見積もりと全体予算設定。予算内での最大効果(新規顧客獲得等)計画策定、ROI予測。
- KPI(重要業績評価指標)設定と効果測定:活動成果を測るKPI(Webアクセス数、申込数、転換率、獲得単価等)の設定。定期的効果測定・分析に基づき、戦略を継続的に改善。
この中では『コミュニケーション戦略の立案』が一番肝心なポイントではないでしょうか。
では、どんなメッセージを届ければ良いのか?
最も効果があるのは、やはり口コミです。
商品やサービスを実際に体験した上での言葉の価値は、これからも変わらないと思います。
まず誰のためのサービスか考えて、次に商品内容、使うシステム、困ったときの助け方、宣伝方法、目指す成果を具体的に決め、順番に実行していくことが大切です。
沖縄×サブスクリプションサービスの事例

沖縄の特産品を活かした興味深い事例として、株式会社ICHIGOが展開するお菓子のサブスク「Sakuraco」と沖縄県大宜味村の連携をご紹介します。
「Sakuraco」は、日本の伝統的なお菓子を月替わりのテーマで海外180の国と地域に届けるサービスです。
2022年7月に、「Okinawa Retreat」と題し、大宜味村特産のシークワーサーを使った限定品を含む、沖縄関連のお菓子を詰め合わせた特別ボックスを販売しました。
これはサブスクリプションサービスにおいてアクセントとなる『季節やイベントに合わせたセット販売』の例と言えるでしょう。
この取り組みは、地方の特産品や老舗メーカーの商品に新たな海外販路だけでなく、顧客にとっても「限定感」や「発見」といった付加価値の高い体験を提供しています。
沖縄の地域資源とサブスクリプションを組み合わせ、独自性と魅力を高める。
ICHIGOの事例のように、地域性や季節性、限定感を打ち出すことで、顧客満足度を高め、事業成長に繋げるヒントが得られるかもしれません。
関連サイト:PR TIMES 「越境サブスクサービスを手掛けるICHIGO×沖縄県大宜味村の海外向け限定コラボお菓子BOX「Sakuraco」を7月限定で販売中」
まとめ

サブスクリプションモデルは、ECサイト運営者の皆様にとって、新たな収益源の確保や顧客との長期的な関係構築に繋がる可能性を秘めています。
向いている商品には、消耗品や食品などがあり、成功には顧客ニーズ把握、サービス設計、運営体制整備、マーケティング戦略が重要です。
今回ご紹介した事例やヒントを参考に、ぜひ皆様のビジネスにサブスクリプションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。