【トレンドリサーチ】「推し」を活かしてECサイトを活性化

推しを生かしてECサイトを活性化 お役立ちコラム

推し」という言葉が日常会話でも使われるようになって久しいです。

元々アイドルファンから派生した言葉として広まりましたが、今では製品や企業に対しても使われるケースもあります。

そんな「推し」の文化を今一度深堀りして、ECサイトの活性化につながるように考えていきます。

そもそも「推し」とは何か?――その定義と歴史的変遷

「推し」の本来の意味は、「推す」という言葉の現在進行形です。

人や物に対して、魅力や価値を感じて、他者にも「推薦」することを指します。

「推している」という使い方が本来の使い方ですが、それを短縮して派生した言葉です。

1980年代、アイドルファンの間で使われ始め、21世紀に入り徐々に浸透、2010年頃一気に広まりました。

今では「推しメン」「箱推し」「推し活」など、さらなる派生形の言葉も使われるようになってます。

きっと、みなさんも一つは推しがあると思います。

お子さんがいらっしゃる方は特にそうでしょうね。

「「推し」が持つニュアンスと心理的引力

「推し」という言葉を聞いて、どのようなニュアンスを受けるでしょうか。

推薦という本来の意味を超えて、対象に夢中で熱狂していることが多いでしょう。

そして、何かしらのポジティブな意義を感じており、それを他者と共有したいと感じているのではないでしょうか。

これはECサイト運営にも活かせる観点になりえます。

この「推し」を活かしてECサイトを活性化する方法を考えてみましょう。

「推し」の主な感情と行動特性5つ

お客様が何かを「推す」とき、そこには「好き」を超える、いくつかの特徴的な行動として現れます。

EC活性化のヒントを得るためにも、これらの特徴をもう少し探ってみたいと思います。

まず、「推し」を持つ人がどのような感情を抱き、どのような行動をするのか、その特徴をいくつか見ていきましょう。

1.対象への愛情と能動的な支援

「推し」の対象へ向ける愛情や、成功を願う気持ちが生まれます。

例えば、沖縄の特定の農家さんが作るマンゴーを「推し」ている人は、単に「おいしい」だけではないでしょう。

そのマンゴーを生産した農家さんの人柄や姿勢、努力を知れば知るほど、購入して応援しようとします。

2.対象への探求心と情報収集意欲

「推し」ができると、その対象について情報を知りたいという欲求が生まれます。

商品の情報だけでなく、背景にあるストーリーや作り手の想い、商品の関連文化。

これらの情報を得られることで、お客様自身にも喜びが生まれます。

他のファンとの交流があれば、より楽しくなるでしょう。

3.同じ「推し」を持つ仲間との一体感や共感の醸成

「これ良いですよね」「ええ、わかります!」

といった感じで、同じ対象を「推す」人同士では、共感による一体感が生まれます。

共通の話題で交流を深めることは、コミュニティへの所属感が孤独感を和らげ、心地よさや安心感につながるでしょう。

4.「推し」が日常に与える活力と精神的な充足感

「推し」の存在は、日々の生活に潤いやハリを与えてくれます。

お気に入りの料理を味わう、好きなアーティストの音楽を聴くといった行動が心を豊かにし、時には生きがいや行動目標を与えてくれることもあります。

「推し」になるためには、これまで挙げてきたようなポジティブな影響と情報がそろっていることが多いと考えられるのではないでしょうか。

5.他者への積極的な推奨と情報拡散意欲

「こんなに素晴らしいものを他の人にも、ぜひ知ってほしい」という気持ちは、「推し」を持つ人の特徴です。

単に「ファン」や「愛好家」という立場では、「壺中の天(自分の楽しみを他人には知らせず独り占めするような心境)」といったように、自分一人で優越感に浸ったり、他人には知らせないケースもあります。

心から良いと思うものを他者に推薦したくなる伝播力。

その人ならではの熱意は、時にどんな広告よりも強い影響力があります。

これらの特徴は、お客様がECサイトや商品に対して「推し」の感情を抱いた場合、新たな顧客を呼び込むコアなファンとなる可能性を示しています。

沖縄ECサイトを「推される」存在に――3つの戦略的アプローチ

「推し」が発生する条件を、先ほど挙げた特徴から、大まかに考えてみると

「対象の魅力やポジティブな情報」を受け取り

・「対象への応援」
・「個人のアイデンティティと結びつける」
・「他者と共有したい気持ち」

がある状態と言えます。

その特性を生かして、ECサイトの活性化案を考えてみましょう。

ブランド価値の最大化による「共感」と「能動的支援」の誘発

顧客の「推し」行動の起点は、対象の魅力への深い理解と共感です。

沖縄ECサイトは、地域資産を戦略的に活用し、顧客の心を捉える情報発信が求められます。

核となるのは、商品の背景にあるポジティブなストーリー訴求です。

メーカーや生産者の情熱といった物語、文化的意義など専門性の高い情報、また購入を通じて貢献できる社会的意義などは、商品説明を超えた共感を呼ぶでしょう。

それが「応援したい」という能動的支援へとつな
、他者へ「推す」ための根拠になります。

また、高品質なビジュアルの併用は、ブランドの魅力を五感に訴えかけ、より強い印象を与え、効果的です。

「アイデンティティとの共鳴」を起点とした「拡散」とロイヤルティ醸成

次に重要なのは、顧客が商品やブランドを通じて自身の価値観やライフスタイルを表現することです。

例えば

「沖縄の伝統工芸品を選ぶ」→「文化を尊重する自分の姿勢の表明」

といったように、購買行動が顧客のアイデンティティを肯定し、満足感を高めるよう働きかけることができます。

さらに、この高まった愛着や共感を他者へ自然と伝播させる「仕掛け」を考えてみましょう。

単なる交流の場に留まらず、顧客が自発的に商品の魅力を発信し、それが効果的に拡散されるシステムを組み込むことが有効です。

【例】
・アンバサダー制度の導入
・SNSでの推奨行動を促すインセンティブ設計
・バイラル効果を狙ったコンテンツ企画

この強い結びつきこそが、根強いロイヤルティの源泉となります。

親和性の高い「推し」コミュニティへの戦略的アプローチと関係構築

どんなに良い商品でも、まずはその存在を認知してもらわないと購入までには至りません。

そこで、「推し」を活かした商品の認知度向上の手段として、その商品との親和性が高いと思われる推しのコミュニティやインフルエンサーへのアプローチが考えられます。

コミュニティへ商品の魅力を訴えて理解してもらえば、その口コミ効果は通常より大きなものになります。

その際にこそ、前述の2つの活性化策がさらに効果を発揮し、「推し」の増加につながるのではないでしょうか。

まとめ

推しを生かしてDCサイトを活性化

「推し」という文化現象を持つ人の特徴として、対象への深い愛情、詳細情報を求める欲求、同じ「推し」を持つ人との共感、そして推薦したい気持ちが挙げられます。

この「推し」文化をECサイト活性化に活用するには、商品背景のストーリーや生産者の想いを伝え、顧客の共感と能動的支援を促すことが重要です。

また、商品購入が顧客のポジティブな体験を口コミのように拡散させる仕組みを構築することや、商品と親和性の高い「推し」コミュニティへのアプローチも効果的な戦略となるでしょう。

本稿が「推し」を理解し、戦略的に活用することで、皆様のECサイトが単なる商品販売の場を超え、共に成長していく『推される存在』のヒントになれば幸いです。