越境ECは低迷する日本経済を救うか SNSマーケティング、ECサイトの未来を占う

お役立ちコラム

越境ECは低迷する日本経済を救うか SNSマーケティング、ECサイトの未来を占う

新型コロナウイルスの影響で混沌とした状況が続く中、社会、経済は新たな常識への対応に迫られている。
アパレル販売など多くの業種で売上が落ち込み、大手企業や有名ブランドも廃業に追い込まれる中、注目されているのがインターネットを通じて手軽に買い物ができるネットショップ(EC)だ。
外出を控えてパソコンやスマホでショッピングを楽しむ人が増え、巣ごもり消費によって酒類や本、雑誌といった商品は売上が増加している。
特にTwitterやInstagramといったSNSを利用して買い物をする消費者が増え、広告もこれまでのようなテレビやラジオ、雑誌といった媒体からSNS広告への切り替えも進んでいる。

新型コロナウイルスは買い物習慣を大きく変化させ、これまでの常識を捨て、企業にとっては、その急激な変化に順応する力が必要になる。
ECサイト市場の現在、今後の変化について、株式会社ツクセル代表取締役津島航平氏に話を聞いた。
主にSNSマーケティングを用いた販売手法で高利益率を出し、そのノウハウやリソースを活かしたEC運営代行サービスを展開している。
琉球大学在学中に起業し、Instagramを主なプロモーションツールとしてアパレルのECを展開、創業からわずか数ヶ月で営業利益100万円以上を達成するなど、多くの実績を挙げている。

トレンドを追うのではなく本質的な部分に
リソースを割くことが大事

現在多くの人が登録し利用しているSNS。
その可能性に目をつけ、ECサイト運営にSNSマーケティングを取り入れてきたのが株式会社ツクセル代表取締役津島航平氏だ。

SNSマーケティングを本格的に取り入れたのはいつごろですか?

「通販自体は7年目になりますが、SNSマーケティングを活用しはじめたのは2年ほど前からですね。ジュエリーをメインに扱っているので、主なターゲットである二十代~三十代の女性がユーザーに多いInstagramを取り入れました」

SNSに興味を持ったきっかけは?

「リスティングの費用対効果が合わないと感じはじめ、リスティングに代わる新しい集客方法を模索していたんです。SNSなら初期費用も抑えられるし、Instagramを活用してブランドの立ち上げ、運用までしている知人もいたので、コンサルを入れながらまずは実験的にスタートしました。それまでは30%だった広告費が10%にまで抑えられ、費用対効果としても上々です」

●新型コロナウイルスの影響で変化したことはありますか?
「巣ごもり需要でECは追い風になっていますが、アパレル業界は厳しい状態ですね。外出しなくなると洋服やアクセサリーを買う意欲も失われてしまうものですし。インフルエンサーも、カフェやビーチで撮影することが難しくなって、自宅でどれだけ魅力的な写真が撮れるか、興味を持ってもらえるような内容にできるかが問われています」

●実店舗からECへの切り替え、新たな参入を考えているブランドや企業も多いと思いますが
「これからさらに増えていくと思います。ECのプラットフォームがSNSになっていき、その動きは加速していくでしょうね。ここ数年はとくに消費者の関心が“どこで買うか”ではなく“だれから買うか”という部分にシフトしています。ブランドやショップの公式アカウントではなく、店長やスタッフの個人SNSから購入につながるという例も多く、商品の質だけでなく、それを作る人、売る人の個性も重視されます」

●物から人へと興味が移っているということですね。
「もちろん、商品の魅力も重要ですけどね。最近とくに感じるのは顧客との接点をどれだけ持つかということです。国内の例として、メンズスキンケアブランドのBULK HOMME(バルクオム)は、アンケート回答者への商品プレゼントやステップメール、UGCへの細かい対応なども徹底しています。他にも自社の商品やブランドコンセプトをテーマにした雑誌やウェブマガジンを運営するところもあり、ブランドのオウンドメディアがトレンドになってきていますね」

●そういった変化や流行に敏感に対応する力も必要ですね
「もちろん、最新のトレンドを把握することは大事ですが、そこばかりにとらわれていると本質を見失ってしまうので、小手先のテクニックやトレンドに惑わされず、本質的な部分にリソースを割いて、お客様を第一としたアプローチを積み重ねていくことだと思いますね。これは自分自身が企業したての学生時代に経験したことでもあります」

今後の展望についてお聞かせください
「コロナ後の日本経済はどんどん下降していき、今後さらなる悪化が予想されます。消費行動も大きく変化していますが、社会全体でいくと合理的な方向にシフトしていますよね。今こうして取材を受けるのもオンラインですし。生き残るためには新しい挑戦が必要不可欠だと思います。具体的にいうと、インバウンドへのアプローチ。これまでもインバウンドには力を入れてきましたが、多くが観光であり、海外旅行による需要が停滞してしまうとたちまち冷え込んでしまう。そういう意味で、ポイントになるのが越境ECです。ネットを通じて国内商品を海外向けに販売するためのコンサルや運営代行を進めていきます。越境ECは日本経済復活に大きく役立つでしょうし、我々としてもそこに注力することでわずかでもアフターコロナ、ウィズコロナの時代を生き抜く力にしていきたいと考えています」

激動の時代に必要なスキル、EC運営において重要なポイントを津島氏に聞いた。
多くの企業、個人が変革の中で生き残っていく術を模索する中、本当に必要なものを選び出し、判断する力が必要だとあらためて強く感じた。


2020年10月より沖縄イーコマース協議会主催による「イーコマースアカデミー」第一弾として、無料説明会『~ゼロから始めるイーコマース講座~ 全公開!SNSを駆使してネットで売上を伸ばし続けるコツ』無料説明会が開催される。

SNSマーケティングの活用法、ECの現状、PR方法など幅広い内容で、EC初心者やSNSマーケティングをこれから取り入れる企業、ブランド、個人向けとなっている。